2024年11月19日
神奈川県の商店街に対して行っております「神奈川県商店街実態調査報告書令和6年度版)がまとまりました。
神奈川県内の商店街の実態を調査するものとして毎年実施、今年度は抽出調査として359の商店街データの中から70商店街を対象として抽出し、コロナ禍以後に顕著になった問題と防犯カメラを主なテーマに設定して調査をしました。
多くの商店街から、生の声を集めています。
■調査概要
調査対象 …… 商連かながわ加盟の商店街・未加盟の商店街
方法と時期 …… アンケート調査(郵送・FAX・Web)令和6年5月8日~5月30日
配布数等 …… ①商連かながわ加入の商店街(63商店街)
②商連かながわ未加入の商店街(7商店街) 合計70商店街
回収数 …… 53票(回収率 75.7%)
■調査結果の概要
◆約3割の商店街で景況感が回復との見方の一方、約5割の商店街では厳しいとの見方
・最近の景況感については、「やや悪い(停滞している)」が28.3%、「悪い(衰退している)」が17.0%(計45.3%)、景況感が「良い(繁栄している)」が3.8%、「やや良い(回復してきている)」が26.4%(計30.2%)でした。
・立地環境別に見ると、景況感が比較的良い商店街(「良い」と「やや良い」の合計)は、「駅前・繁華街」(40%)、「駅近隣型商店街」(25%)、「住宅近隣型商店街」(20%)の順になっています。一方で、景況感が厳しい商店街(「やや悪い」と「悪い」の合計)は、「住宅近隣型商店街」(60%)、「駅前・繁華街」(45%)、「駅近隣型商店街」(40%)の順になっています。
・景況感と人出の関連性については、人出が増えていることよりも人出が減っていない方が、景況感に良い影響を与えていました。
◆約4割の商店街で今後の活性化の見通しは回復傾向との見方の一方、約3割の商店街では厳しいとの見方
・楽観的見通し(「良くなっていく」と「やや良くなっていく」の合計)の割合は41.5%、悲観的見通し(「悪くなっていく」と「やや悪くなっていく」の合計)の割合は30.2%で、楽観的見通しが悲観的見通しを11.3ポイント上回っています。
◆コロナ禍前と比較して人出が減っている商店街が約4割
・商店街の人出については、コロナ禍前と比べて「(人出が)減っている」が35.8%と最も多く、次いで「コロナ禍前とほぼ変わらない」が30.2%、「人が出る時間帯が変わった」が15.1%でした。
・人出の影響の理由では、「お客のライフスタイルが変わって、商店街に来なくなったから」と「近隣の大型店やインターネットで買い物する人が増えたから」が同率の48.1%と最も多い回答でした。
◆商店街の会員数は「コロナ禍前とほぼ変わらない」が半数以上
・商店街会員数の変化については、「コロナ禍前とほぼ変わらない」が50.9%と最も多く、「増えている」(7.5%)と合わせて約6割を占めています。一方で、「(会員が)減っている」が41.5%もあり、約4割はコロナ禍を境に減少した会員数がいまだ戻っていません。
・会員数が減っている理由は、「コロナ禍をきっかけに会員のお店が廃業したから」が54.5%と最も多く、次いで「コロナ禍をきっかけに会員が退会したから(お店は存在している)」(45.5%)でした。
・会員数が減っていない理由には、プレミアム商品券などのイベントを実施していることや、新しいお店ができたら積極的に勧誘していることが挙げられていました。
◆約9割がイベントを再開したり、新しい試みを始めている一方、約1割は再開していない
・商店街イベント等の開催状況の変化については、「イベント等を再開、または新しい試みを始めた」が47.2%と最も多く、次いで「開催可能なイベント等のみ再開している」が43.4%で、合わせて何らかのイベント等を実施している商店街は9割を超えていました。
・「イベント等を再開していない、またはやめてしまった」または「開催可能なイベント等のみ再開している」と答えた商店街に、その理由を複数回答で聞いたところ、「コロナ禍を通じて会員間の交流が少なくなり、機運が高まらなかったから」と「イベントの開催費用を商店街から出せなくなったから」が同率の33.3%と最も多い回答でした。
・コロナ禍以後の新しい試みでは、プレミアム商品券の発行や動画チャンネルの開設の他、LINEグループチャットをつくったり、今までやっていたセール・イベントを他商店街と共同開催するような事例が見られ、イベントをやめて商店街の路面補修など環境整備に力を入れるようになった、などの声もありました。
◆その他、コロナ禍以後の影響は、人材確保や夜の人出減少など
・商店街運営の変化としては、店舗の入れ替わりや費用負担増などが挙げられました。また、会員店の変化としては、営業時間の短縮や人材確保が難しくなっていることなどが挙げられました。さらに、客層やお客の変化の理由としては、ライフスタイルの変化がコロナ禍後も定着していることなどが挙げられ、夜の人出の減少や高齢者の来街の減少などの影響も受けているという声もありました。
◆防犯カメラを保持している商店街の中で、約7割が維持管理に負担感
・防犯カメラの設置状況については、「防犯カメラがあり、商店街が保持している」が60.4%と最も多い回答でした。
・「防犯カメラがあり、商店街が保持している」と回答した商店街に、防犯カメラの維持管理費(保守点検、部材交換)の負担感について聞いたところ、「それなりに経費がかかり、負担を感じる」が62.5%と最も多く、また、「商店街の財政を圧迫している」と回答した商店街も3.1%あり、何らかの負担を感じている商店街(「それなりに経費がかかり、負担を感じる」と「商店街の財政を圧迫している」の合計)は約7割に上っています。
・防犯カメラの設置状況は、商業集積地であるほど設置度が高くなります。
★この調査の詳細については、以下、PDFファイルにて掲載しております。
「令和6年度 商店街実態調査報告書 概要版」
PDFファイル(全8ページ)
「令和6年度 商店街実態調査報告書」
PDFファイル(全46ページ)