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報告:商連かながわ、神奈川県の令和6年度予算への要望書を提出

2023年11月1日

商連かながわ正副会長は、10月24日に神奈川県庁に出向き、令和6年度の商店街振興にかかる予算・施策への要望を行いました。

要望の内容は以下の通りとなります。

令和6年度神奈川県予算等に対する商店街振興施策に係る要望について

 神奈川県におかれましては、日頃から、商店街の振興にご尽力をいただくとともに、当会に対し一方ならぬご支援、ご高配を賜り、深く感謝を申し上げます。
 また、コロナ禍と引き続く物価高騰などにより厳しい経済環境が続く中、商店街、個店に対し、手厚いご支援をいただいていることにつきましても、心からお礼を申し上げます。 
 さて、当会が毎年実施している「商店街実態調査」における商店街の景況感では、「良い」「やや良い」との回答が合わせて17.8%であったことに対し、「悪い」「やや悪い」が49.0%と31.2ポイントも上回るなど、まだ厳しい状況にあるとの受け止め方であり、ようやく商店街では賑わいを取り戻しつつあるものの、営業自粛、外出規制やイベントの中止等、商店街活動が大きく制限されてきた、これまでの長期にわたるコロナ禍の影響というものがなかなか払拭されてはいない状況となっております。
 こうした中にあっても、商店街はこれまで同様に地域経済の発展を担い、さらには地域コミュニティの中核としての役割をしっかり果たしていかなければなりません。その為には、コロナ禍で傷ついた商店街の早期完全復活に向け、神奈川県による支援がぜひとも必要であり、以下の事項の実現に、特段のご配慮とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

1 コロナ後における商店街の更なる活性化に向けた県の支援について

 この3年間猛威を振るった新型コロナウイルス感染症。緊急事態宣言の発出や行動制限などにより、地域経済が受けた影響はかなりのものでありました。この間、いくつかの感染拡大の波を乗り越え、ようやく今年5月には感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、法律に基づいて行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、自主的な取組みをベースとした対応に変わったこともあり、何とか経済活動も徐々に元の姿に戻りつつあります。
 ただ、前述の「商店街実態調査」では、コロナ禍の前後で普段の人出が減少したと回答した商店街は全体の58.5%と、約6割の商店街ではコロナ禍の負の影響が残っているといった結果となり、さらに今後の活性化の見通しについての問いに対しては「悪くなっていく」「やや悪くなっていく」といった悲観的見通しの回答が48.2%と、「良くなっていく」「やや良くなっていく」との回答を25.1ポイントも上回り、物価高騰の影響もある中、今後の活性化の見通しを楽観視できない商店街が少なくない状況となっております。
 一方、コロナ禍の影響は「新しい生活様式」等、人々の日常生活や社会活動における意識等の変化にも及び、テレワークの急速な普及が進むだけでなく、キャッシュレス決済の進展といったことも見られており、こうした消費行動の変化にも的確に対応し、商店街も新たな形での活性化を図っていかねばなりません。
 そのためには、コロナ禍でかなり落ちてしまった体力を、何とか元に戻していくことが、商店街の喫緊の課題となっております。
これまで県では、コロナ禍における需要喚起対策として、商店街等プレミアム商品券支援事業費補助、県内消費喚起対策事業費等に積極的に取り組むなど、各商店街からの幅広い支援を求める声に対し、しっかりと応えていただいてきたところであります。

 これら需要喚起対策は、コロナ後においても地域経済の活性化には必要不可欠のものであり、商店街再生を力強く後押しできる取組みとして、国等への働きかけも含め、引続き実施いただけるよう県のご尽力を切に願うところであります。
 今年度実施されたかながわPay第三弾は、規模も拡大され好評を博したと承知しており、次年度も引き続いて実施されることに期待が膨らむところでありますが、今後の実施に当たっては、商店街のより多くの店舗で利用できるよう、加盟店の更なる拡大に向け、手続きの簡素化をはじめ加盟に際してのハードルの引下げなど、制度の見直しについても検討されることが望まれます。
 また、キャッシュレス決済は、これまでも若者の間では当たり前となっておりましたが、今では高齢者の利用も増えていることもあり、身近な商店街として、こうした社会の流れにしっかりと乗っていけるよう、導入準備からその後のサポートまで幅広いご支援についてもお願いしたいと考えます。
 今年度の「商店街実態調査」ではコロナ禍の影響について確認しておりますが、飲食店の休業だけにとどまらず閉店・廃業の増加にもつながっていることや、そればかりか、店舗の跡地に建売住宅が建設されたり、商業エリアにも拘らず店舗の入らないマンションが増えているなどの回答もあり、商店街そのものの存続にも大きな影響を及ぼす事態となっているケースが見受けられました。
 こうした状況を踏まえ、商店街の廃業した空き店舗や跡地の活用についても早急に対策を打ち立てる必要があり、例えば、市町村と連携した起業を目指す人の誘致や、空き店舗等の情報の広域的な提供など、商店街を維持していくための効果的取組みについても幅広く検討いただきたいと考えます。
 一方、そうした中ではありますが、コロナ禍の沈静化に伴い各商店街では様々な活動が再開され、地域の活性化に向けイベント等も以前と同様に開催され始めております。こうした機会を捉え、地域の中での商店街の役割や「良さ」といったものを、もう一度県民の方々に広くお知らせし、理解をさらに深めていただく中で、商店街を地域全体として支えていただけたらと考えます。
 そして、コロナ禍を乗り越え元気を取り戻した商店街として、地域の期待に応えるべくきちんと役割を果たしていく。そのためには、商店街をしっかり支えていける人材の確保など、組織強化を図っていく必要があり、商店街運営の成功事例の紹介やノウハウの提供といった指導に加え、様々な補助制度についても着実に商店街活動の活性化に繋がり、さらには商店街にとって使いやすいものとなるよう、その充実強化といったことが望まれるところであります。
このコロナ禍によりかなりの痛手を被った商店街ですが、これまで様々な支援をいただきながら何とか頑張り続け、ようやくその復活の時を迎えることができました。
すべての商店街の振興を担っていただいている神奈川県には、この時期を捉え、さらに力強く後押ししていただきたいと考えます。

 そこで、神奈川県におかれては、次のことにそれぞれ配慮いただくよう要望します。

(1)商店街における消費を促す取組みの実施及びキャッシュレス決済の促進について
コロナ禍による停滞からの脱却に向け、今後も引き続き、プレミアム商品券やかながわPayをはじめとするポイント還元等の消費喚起策を実施いただくこと
また、浸透しつつあるキャッシュレス決済にしっかりと対応できる商店街づくりに向け必要な支援を実施いただくこと

(2)商店街の空き店舗に係る施策について
市町村と連携した、空き店舗とならないような支援や空き店舗の活用に向けた支援について検討いただくこと

(3)商店街の果たす役割に対する理解の促進及び商店街の組織強化に向けた支援について
 商店街が地域において果たす役割についてより多くの人に周知を図り、併せて、その役割をしっかりと担えるよう商店街の組織強化に向け必要な支援を実施いただくこと

2 安全安心な街づくりに取り組む商店街に対する支援について

 商店街ではイベント等の開催も増え、コロナ禍前と遜色ない人通りも見られてきましたが、そうした中、商店街の大きな役割の一つとして、犯罪の抑止力にもなる防犯カメラや、街を明るく照らす街路灯の設置など、引続き地域の方々の安全安心の確保に努めていかねばなりません。
これらの設置に関しては様々な支援をいただき、また、その充実が図られたものもあるなど、これまでの対応に感謝するところでありますが、月日の流れとともに機器の老朽化が進んでいることもあり、多くの商店街がその維持管理・修繕・更新等に苦慮している状況となっております。
 こうした設備等に係る支援を求める声は、これまでも各商店街から毎年数多く寄せられてきましたが、特にコロナ禍により体力を消耗した商店街からは「予算がなく街路灯を撤去せざるを得ない」などの切実な声も届いております。
 また、高所作業故に工事費が高額となる場合もあり、さらには、古い防犯カメラだと交換部品がなく、街路灯のLEDランプも思いのほか劣化が早いものもあるなど想定外の事態も起こっており、こうした負担は重く商店街にのしかかっております。
 これら安全安心に繋がる設備に係る支援については、特にコロナ禍による商店街の厳しい経済情勢を踏まえ、助成対象の拡大・充実を強く望むところであります。

 そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

 防犯カメラや街路灯の維持・更新・撤去などが、コロナ禍で疲弊した商店街にとっての負担となっていることを踏まえ、市町村と協調した補助の仕組みなども含め必要な支援を実施いただくとともに、助成対象の拡大についても検討いただくこと

3 当会に対する支援について

 当会は昨年度70周年を迎えましたが、昭和27年6月の設立以来、県内商店街の近代化、経営の合理化等に努めるとともに、平成22年2月からは公益法人として、より広範で公益性の高い事業の展開に取り組んでまいりました。
 これまでの間、商店街に対しましては、神奈川県商店街活性化条例の制定をはじめ、各種補助金の交付等、様々な施策により県にご支援いただいてまいりました。
 しかしながら、当会の会員数はこの10年で約15%も減少しており、コロナ禍の影響もあったとは言え、賛助会員であった大型店の退会も含め、こうした傾向は今後も危惧されるところであり、早急に対策を講じていくことが喫緊の課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、県では訪問や文書による大型店・チェーン店の本部等に対する商店街への協力要請の実施や、商店街魅力アップ事業費補助金の交付決定に至る過程に当会の推薦制度を導入していただく外、県内には当会に加入していない商店街連合会や、連合会組織のない商店街も存在していることを踏まえ、当該市町村等への働き掛けの実施など、様々な施策により当会をお支えいただいてまいりました。
 特に、県によるこうした直接的な働き掛けにつきましては、極めて有効なものと受け止めており、その効果に少なからず期待しているところであり、また深く感謝しているところであります。
 さらに、当会入会のメリットを明確に打ち出せる施策についても、今後ご検討されることを期待しているところでありますが、この厳しい現状をしっかりと認識し、当会自らも働き掛けに力を入れるなど、会員規模の維持拡大に努めていきたいと考えております。
 今後とも、神奈川県商店街活性化条例の実効性を確保し、当会が地域におけるその役割を全うできますよう、引続きのご支援をお願いしたいと考えます。

 そこで、神奈川県におかれては、次のことにそれぞれ配慮いただくよう要望します。

(1) 当会の会員数拡大に向けた支援について
商店街連合会組織未整備の市町村も含め、当会未加入の商店街等に対する当会への加入推進に向けた働き掛け等について実施いただくこと

(2)チェーン店や大型店の商店街に対する理解と加入促進に向けた支援について
チェーン店・大型店が商店街活動を理解し、商店街に加入していることの重要性を深く認識していただけるよう、神奈川県商店街活性化条例の浸透に一層努めるとともに、商店街からの依頼に基づく本社等への文書発出と、県と当会が連携した訪問についても実施いただくこと

(以 上)