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ご報告:商連かながわ、神奈川県の令和4年度予算への要望書を提出

2021年11月1日

商連かながわ正副会長は、10月29日に神奈川県庁に出向き、令和4年度の商店街振興にかかる予算・施策への要望を行いました。

要望の内容は以下の通りとなります。

令和4年度神奈川県予算等に対する商店街振興施策に係る要望について

 神奈川県におかれましては、日頃から、商店街の振興にご尽力をいただくとともに、当会に対し一方ならぬご支援、ご高配を賜り、深く感謝を申し上げます。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けている商店街、個店に対しては、迅速かつ様々なご支援をいただき、心からお礼を申し上げます。
 さて、先ごろ、当会が行った「商店街実態調査」では、景況感についても尋ねています。その結果、景況感について「よい」あるいは「ややよい」と回答した商店街は皆無であり、一方、「悪い」あるいは「やや悪い」との回答が8割近くになりました。また、商店街の今後の活性化の見通しについても、6割を超える商店街が、「悪くなる」あるいは「やや悪くなる」と回答しています。昨年の同時期よりはやや改善がみられるものの、商店街を取り巻く環境は、引続き厳しい状況が続いています。
 そうした中、商店街は県民の皆さんの日々の暮らしを身近で支え、地域経済の発展を担い、さらには地域コミュニティの中核としての役割を果たしていくことで、県民の皆さんからの期待に応えてまいります。
 そのためには、神奈川県によるご支援がぜひとも必要であり、以下の事項の実現に、特段のご配慮とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

1 コロナ禍の中での商店街の現状を踏まえた支援の実施について

 昨年の3月、新型コロナウイルス感染症が全国的に広がり始めて以来、新規感染者数は増加と減少を繰り返し、この間、本県では三度にわたる緊急事態宣言の発出をはじめ、まん延防止等重点措置区域の指定、神奈川版緊急事態宣言の発出などもあり、その都度、飲食店等の休業や営業時間の短縮、外出の自粛が強く求められてきました。
 コロナ禍の中で、商店街はイベントの開催など集客活動を行うことがままならず、外出の自粛により来街者も減少し、多くの商店街が今なお、深刻な影響を受け続けています。
 当会では、会員商店街に対し、商店街への人出と来客の状況を定期的に調査しています。本年8月に行った最新の調査では、コロナ禍以前と比較して、人出について「激減」「少なくなった」と回答した商店街は全体の約8割、来客について「激減」「減っている」と回答した商店街は約9割あり、引続き大変厳しい状況にあります。
 こうした状況の中で、神奈川県におかれては、プレミアム商品券支援事業費補助金や再起支援型補助金の交付など、商店街が置かれた切実な状況も踏まえ、各種の支援を行ってきていただきました。
 こうした支援をいただく中で、商店街からは、商店街を元気づけ、購入者にも喜んでいただけるプレミアム商品券発行への支援について、「大変助かる」との声が多く寄せられています。
 また、個店に対する支援については、「飲食店が苦しいのは勿論だが、外出自粛の要請を受け、他の業種の店舗も苦境にある。ぜひ幅広く支援してほしい」との声が多く寄せられています。

そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

(1) 神奈川県商店街等プレミアム商品券支援事業費補助金の継続した実施について

神奈川県商店街等プレミアム商品券支援事業費補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け続ける商店街にあって、その活性化と消費の喚起に大きく寄与しているので、事業の実施対象期間などについては柔軟に対応していただきながら、令和4年度も継続して実施していただくこと。
また、とくに中小規模の商店街の中には、商品券発行に関するノウハウが十分にない商店街もあることから、発行の検討段階からのフォローを含め、必要な支援をしていただくこと。

(2) 外出自粛要請の影響により苦境にある多様な業種の店舗に対する支援の実施について

神奈川県におかれては、今年度、外出自粛要請の影響により売り上げが減少した多様な業種の事業者に対する支援(中小企業等支援給付金)を開始していただいたが、国の月次支援金の受給が前提とされているので、売上要件を緩和して支給対象者を拡大する、県独自の支援を実施していただくこと。

2 コロナ後の商店街を見据えた県による施策の展開について

 新型コロナウイルス感染症の「第5波」は、9月に至り新規感染者数が減少し緊急事態宣言も解除されました。一方、「第6波」の到来に予断を許さない状況は続いており、コロナ後を見通すことは困難です。
 しかしながら、今なお多くの商店街で人出、そして来客がコロナ禍以前には戻らず、また、長期化するコロナ禍にあって消費行動の変化が加速したとも言われる中で、コロナ後の商店街を展望しながら対応していくことが、商店街にも、そして当会にも求められています。
 その一つが、キャッシュレス決済への対応です。我が国の個人消費に占めるキャッシュレス決済の割合は年々拡大し、コロナ禍で非接触型の決済方法へのシフトは一層急速に進みました。
 一方、令和2年度に当会が行った「商店街実態調査」では、商店街における個店のキャッシュレス決済の導入状況について調べましたが、「3割程度」との回答が最も多く、「ほぼない」を加えると約5割であり、商店街での本格的な普及は、まだこれからの段階です。
 今後、コロナ後を見据えた時、キャッシュレス決済の利用者が一段と増えていくことを考えると、商店街におけるキャッシュレス決済の普及に向けた、一層の取組みが重要になります。
 そしてもう一つは、コロナ後も、県民の皆さんにとって商店街が欠かせない存在であると認識し続けていただくための対応です。コロナ禍の中で進んだEコマースなど、消費行動の変化がコロナ後の商店街に与える影響には未知なところがありますが、コロナ禍で減少した商店街への来客に、再び商店街に戻っていただくことが重要です。
 そうした中、県民の皆さんからは、コロナ禍の中で身近な商店街の存在を見直した、という声もいただいています。
 ぜひこの機会を捉え、コロナ後に向けては、「商店街のよさ」を含めた商店街の存在と、その果たしている役割を県民の皆さんに改めて知っていただき、理解していただくことが大切だと考えています。
 すべての商店街の振興を担っていただいている神奈川県には、その推進に向けた大きな期待を抱いています。

そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

(1) 商店街でのキャッシュレス決済の一層の普及を促す取組みの実施について

コロナ後においては、商店街の活性化を進める上で、キャッシュレス決済の普及はこれまで以上に重要になると考えられるので、商店街が導入に向けて取り組む際のインセンティブの提供や、導入前の準備から導入後のフォローまでの一貫した支援策を検討いただくなど、商店街における一層の普及に向けた取組みをしていただくこと。

(2)コロナ後においても、商店街が地域に欠かせない存在であると認識され続けられるためのキャンペーンの実施について

コロナ禍の中で、県民の皆さんに身近な商店街が見直された機会を捉え、「商店街のよさ」を含めた商店街の存在と、商店街による安全安心の取組みなど商店街が地域で果たしている公的な役割を、県民の皆さんに周知し理解していただくよう、神奈川県によるキャンペーンを展開していただくこと。

3 商店街の空き店舗への出店希望者に対する支援について

 商店街の多くは、店主の高齢化と後継者難、商店街組織の担い手不足など、少なからぬ課題を抱えていますが、空き店舗の存在もその一つです。
 今年度、当会が実施した「商店街実態調査」では、コロナ禍を受けて浮かび上がってきた課題について調査を行い、コロナ禍による店舗の閉店や廃業の状況についても聞いています。
 これによれば、「閉店や廃業する店はほぼない」と回答した商店街は約4割でしたが、「閉店や廃業する店が増えている」(「非常に増えている」「増えている」「出始めている」の合計。)と回答した商店街が約6割あり、コロナ禍が商店街の空き店舗の増加につながることを危惧しています。
 商店街の空き店舗は、来街者の利便性の低下にとどまらず、景観上の問題や安全安心な商店街を維持していく上での問題、さらには会費収入の減収や商店街活動への影響など、様々な問題の発生につながる恐れがあることから、商店街における空き店舗の存在は極力解消していくことが求められています。
 空き店舗の解消に向けては、商店街においても、新たな出店を促す呼びかけや、商店街自らの利用を検討するなど、できる限りの努力をしているところですが、「空き店舗があるならば出店したい」という声も商店街には届いています。
 しかしながら、出店に向けて障壁の一つとなるのが、新たな出店に伴う出店希望者の経済的な負担です。その負担を軽減し、新たな出店へとつなぎ、商店街の活性化を維持していくことが望まれています。

そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

商店街の空き店舗を解消し、商店街の活性化を図るため、空き店舗を活用して新たに出店を希望する者に対し、出店に伴う初期費用等の負担を軽減する補助制度を新設することを検討していただくこと。

4 安全安心な街づくりに取り組む商店街に対する支援について

 商店街は、県民の皆さんの買い物などの場であるだけではなく、祭りなど地域交流イベントの開催や高齢者の見守り、子育て支援の場としての活動など、様々な活動を行っています。
 そうした活動の中でも、人通りが多い商店街に設置することで犯罪の抑止力にもなる防犯カメラや、街を明るく照らす街路灯を設置して維持管理を行うなど、安全安心な街づくりを進める取組みには多くの商店街が取り組んでいます。
 本年6月、神奈川県議会本会議では、地域の防犯カメラをめぐる議論がなされており、黒岩知事は安全安心な街づくりに対する県民の期待が大きいこと、防犯カメラなどの整備は重要であること、を話されていました。商店街が取り組む安全安心な街づくりの活動も、こうした県民の皆さんの期待に応えるものです。
 昨年度、当会が行った「商店街実態調査」では、商店街のハード設備の維持管理と老朽化問題をテーマに取り上げました。その中では、かつて整備した防犯カメラ等の老朽化が進み、設備の維持管理に苦慮している商店街の姿とともに、行政からの補助なくしては改修もままならない商店街の様子が浮き彫りになりました。
 そうした中で、神奈川県におかれては、令和元年度から、ハード設備の維持管理費に対しても商店街魅力アップ事業費補助金が利用できるよう補助の対象を広げていただき、感謝をしています。
 一方、防犯カメラの整備や改修など安全安心な街づくりの取組みは、必ずしも常に、商店街の魅力の増進と結び付くとは限らない側面もあります。
 安全安心な街づくりは、商店街のあらゆる魅力づくりの根底にある取組みとして、支援の対象としていただくことを強く望んでいます。

そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

防犯カメラや街路灯の整備や改修、建て替えなど、安全安心な街づくりに取り組む商店街にとって、大きな負担とならないような補助制度を、市町村と協調した補助の仕組みなども含めて、新設していただくこと。 

5 当会に対する支援について

 昭和27年6月に設立された当会は、令和4年度には設立70周年を迎えます。当会は、すべての会員とともに、また、大型店やチェーン店などの協力もいただきながら、果たすべき役割に力を尽くしていきますので、神奈川県による力強いご支援を引続き願うところです。
 会員に関わる課題には、会員数がこの10年で1割以上減少し、その傾向が続くことから、会員の規模を極力維持していくことがあります。
 そうした中、神奈川県におかれては、令和3年度から、商店街魅力アップ事業費補助金の交付決定に至る過程に、当会の推薦制度を導入していただきました。このことは、当会の公的な存在としての意義と役割をお認めいただいた証左として、大変感謝をしています。
 当会では、神奈川県が補助金の交付決定をされた後、応募商店街に推薦の結果をお知らせする機会を捉えて、応募商店街が当会の会員ではない場合には地元商店街連合会への加入を推奨するなど、会員の拡大に向けて、推薦制度を有効に活用しています。
 また、大型店等の協力に関わる課題としては、コロナ禍の中で、商店街からの退会や協賛の取り止めが増えつつあり、その対応が求められていました。
 そうした中、神奈川県におかれては、令和3年度から、商店街からの依頼に基づき、商店街から退会を予定したり加入の促進が必要な大型店等の本社等に対し、商店街に対する協力に理解を求める文書を発出する取組みを開始していただきました。
 神奈川県が、商店街活性化条例を背景に、商店街への協力を直接働き掛けていただくことは極めて有効であり、その実効性に大変期待をしています。

そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。

(1) 当会の会員数の維持に向けた支援について

新たに導入していただいた商店街魅力アップ事業費補助金における当会の推薦制度を継続し、同制度の存在を一層周知していただくこと。
 また、これまでに引続き、当会に加入していない商店街連合会に対しては当会への加入を、当会の会員である商店街連合会に加入していない商店街に対しては商店街連合会への加入を、機会を捉えて働きかけていただくこと。

(2) 大型店やチェーン店の商店街への加入継続と新たな加入に向けた支援について

大型店等の本社等に対しては、コロナ禍で商店街からの退会の動きも見受けられることから、引続き、神奈川県商店街活性化条例の趣旨を徹底していただくこと。
 また、新たに導入していただいた、商店街からの依頼に基づき大型店等の本社等に対し、商店街に対する理解を求める文書を発出していただく取組みとともに、神奈川県と当会が連携して大型店等の本社等を訪問し、神奈川県商店街活性化条例に対する理解を求める取組みを活用し、引続き条例の浸透と実効性の確保に努めていただ
くこと。

 
                                   (以 上)