2020年10月30日
商連かながわ正副会長は、10月28日に神奈川県庁に出向き、令和3年度の商店街振興にかかる予算・施策への要望を行いました。
要望の内容は以下の通りとなります。
神奈川県におかれましては、日頃から本会の運営につき、一方ならぬご指導、ご支援を賜り、深く感謝申し上げます。
本県の経済は、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大幅に悪化し、最悪期は脱したとの見方はあるものの、経済環境の厳しさは依然として続き、その回復は緩やかなものになると見込まれています。
本会としても、会員商店街を対象に、景況感や今後の見通しについて調査をしていますが、これまでにない悪化の様相を示しています。
このように、今、商店街は極めて厳しい環境にありますが、商店街は県民の日々の暮らしを支える消費の場であるだけではなく、本県の地域経済の発展を支え、また地域コミュニティの中核として重要な役割を果たしている場でもあります。
厳しい環境の中で、商店街が県民からの期待に応える存在であり続けるためには、神奈川県による支援がこれまで以上に必要です。
そこで、令和3年度神奈川県予算等に対する商店街振興策に係る要望につきましては、以下の事項の実現に、特段のご配慮とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
本年3月に入り、新型コロナウイルスの感染は全国的に広がり、本県においても、感染者は増加の傾向を見せ始めました。外出の自粛もあって、商店街の活動にも深刻な影響が出始める中で、本会は4月初め、知事に対して商店街支援に関する緊急要望を提出しましたが、県におかれては真摯に対応していただきました。
その後、県においては、緊急事態宣言の発出を受けた休業要請に伴う、二度にわたる感染症拡大防止協力金の支給のほか、再起支援型補助金の創設、さらにはプレミアム商品券発行事業費に対する補助金の創設など、数々の支援をしていただいてきたところです。
また、感染防止対策取組書を掲出する仕組みの創設は、商店街の個店が感染防止対策に取り組む姿を「見える化」していただき、安心して来店いただけるようになりました。
ところで、新型コロナウイルスの感染拡大の中にあって、大きな影響を受けたのは、商店街の個店にとどまらず、商店街という組織も同じでした。会員である個店からの廃業、休業の相談や支援制度の周知と活用についての相談、商店街における感染防止対策の徹底、そして会費の減収への対応やイベントの開催ができない中での集客活動の模索など、切実な状況に置かれています。
一方、新型コロナウイルス感染の収束は今なお見えず、これから冬を迎える中で、感染の再拡大を危惧する声もあります。
その時には、再び緊急事態宣言が発出されることがないとは言えず、今なおコロナ禍で苦しんでいる商店街や個店にとっては、さらに深刻な影響を受けることも想定され、この度の支援を踏まえた、支援の一層の充実が望まれています。
そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。
協力金の額については、隣接する東京都とあまりに格差があったので、その額を引き上げ、商店街の個店が安心して休業の要請を受け入れられるようにしていただくこと。
また、支給についても一層の迅速化を図り、個店の負担を極力軽減していただくこと。
取組書の普及に当たっては、商店街が一丸となって取り組むことで一層の効果を上げている例もあるので、こうした取組みを積極的に取り上げるなど、新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組む商店街の姿についても県民に知っていただき、商店街活動の一層の理解につながるようにしていただくこと。
新型コロナウイルスの感染拡大は、会員である個店の休業や退会、廃業なども引き起こし、商店街活動の原資となる会費収入の減収を招くなど、深刻な影響を受けた商店街もあることから、そうした商店街が存続し続けるように給付金を支給するなど、商店街を対象とした支援制度の創設を検討していただくこと。
5月末に緊急事態宣言が解除され、3か月が経過した8月下旬、本会では商店街がどのような状況にあるのかを把握するため、商店街動向調査事業(商店街ネットキャビン)のモニターに対し、アンケートを行いました。
その結果、商店街への人出は、コロナ禍以前の状況を100とすると、緊急事態宣言が発出されていた4月から5月にかけては「その3割の人出」との回答が最も多く、宣言が解除されて3か月経った8月の時点でも「7割から8割の人出」との回答が最も多くなりました。
感染のリスクが依然として消えず、商店街でのイベント開催も軒並み中止せざるを得えない中で、多くの商店街では、今もかつての人出は戻ってきていません。
また、アンケートでは、コロナ禍における店舗の閉店や廃業の状況についても尋ねています。その結果、「閉店や廃業した店舗はほぼない」との回答が約6割でしたが、「そうした店舗が出始めている」あるいは「既に増えている」と回答した商店街も約4割あり、商店街が深刻な状況にあることがうかがわれます。
ところで、このたびの新型コロナウイルスの感染拡大は、県民の日常生活にも大きな影響を与え、テレワークの拡大や外出の自粛を基本とした生活、そして新たな日常への対応など、その暮らし振りは様変わりし、消費行動にも大きな変化をもたらしました。
インターネットを利用した通信販売による買物の増加や外食の減少、一か所で買物を済ませるスーパーマーケットへの人の流れなど、商店街の商業活動にも様々な影響が生じたところです。
一方で、外出の自粛が求められた日常においては、県民に身近なところでその生活を支える、商店街の存在が見直される契機でもありました。また、人と人との繋がりを感じる場として、物やサービスを買う場であることを越えた、商店街の役割を知っていただく好機にもなりました。
本会では今、こうした機会を捉え、改めて商店街に目を向けていただくよう、商店街とともに「近くで買おう!商店街」と題したキャンペーンに、神奈川県商店街活性化条例の周知と合わせて取り組んでいます。
そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。
今なお深刻な影響を受けている商店街において、県民の消費を促すような取組みをしていただくこと。
県民に身近な商店街の存在が見直される好機でもある今、地域のコミュニティで果たしている商店街の様々な役割について、広く県民の理解と認識を深めるような一層の取組みをしていただくこと。
商店街は、街路灯や防犯カメラなど商店街共同設備を設置し、その維持管理を行うなど、安全で安心な街づくりに取り組んでいます。と くに、防犯カメラの設置は犯罪の抑止と解決に極めて有効であり、本県の治安の維持、向上に大きく寄与しているところです。
しかしながら、設置から年数が経ち老朽化が進み、改修に費用を要したり、設備の維持管理に多額の費用が掛かるなど、商店街の負担は増大しています。
今年度、本会が実施した「商店街実態調査」では、商店街が保持するハード設備の維持管理と老朽化問題をテーマに取り上げました。
調査では、ハード設備の破損の状況についても尋ねていますが、約3割の商店街が「設備は破損している」と回答し、「そうした設備の中には危険な状態のものもあるが、商店街では負担ができず改修していない」という実態も報告されています。
また、防犯カメラについては約8割、街路灯については約6割の商店街が「本来は行政が設置し、運営するべき設備である」と考えているなど、もはや商店街がそうした共同設備を維持管理していくことは、とりわけ会員も少なく、資金に余裕がない小規模な商店街にとっては、手に負えない状況になっていることが明らかになっています。
県におかれては、本会からのこれまでの要望も踏まえていただき、令和元年度からは、商店街の賑わいや活性化につながるようなハード設備の維持管理費であれば、商店街魅力アップ事業費補助金が利用できるよう、補助の対象を広げていただきました。また、昨年は、大型台風で被害が生じた商店街共同設備の改修等に対する、緊急的な補助もしていただいたところです。
商店街が保持するハード設備に対しての行政からの支援は、大多数の商店街が強い関心を抱き、期待をしています。このたびの「商店街実態調査」の自由意見には、「商店街が安全安心であってこそ、にぎわいがついてくる」との声を寄せた商店街がありました。
商店街の安全安心への取組みは、あらゆる魅力づくりの根底にあって、全ての商店街に共通したテーマであることを改めてご理解いただき、支援を実現していただくことを望んでいます。
そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。
市町村と協調した補助の仕組みの構築なども含め、街路灯や防犯カメラ、アーケード等の商店街共同設備の改修や建替え、撤去等の費用や維持管理に要する経費に対する補助制度を創設し、安全安心な街づくりに取り組む商店街に対する支援を充実していただくこと。
本会は、昭和27年6月の創立以来、県内商店街の近代化及び経営の合理化の推進に努め、本県における商業の振興に寄与してまいりました。
平成22年2月には新たな公益法人へと移行し、以来、10年に渡り商店街の活動を通じて商業の振興を図り、そして地域社会の発展に寄与する公益の実現に努めてきたところです。
本会は、これからも、他の都道府県には例のない、公益法人としての商店街組織として、課題に向き合い、その解決に力を尽くしてまいりますが、県からの支援がぜひとも必要です。
課題の一つには会員数の減少があり、本会の会員商店街数(商店街連合会は除く)は、平成2年の1,048をピークに減少を続け、10年前の平成22年には701に、令和元年には593にまで減少しました。会員数の減少は、本会の会費収入の減少につながり、活動にも影響が出てきています。
会員の減少は、商店街を構成する個店の減少など様々な要因があり、如何ともし難いところもありますが、一方で、本会には加入していない商店街連合会が存在することも事実であり、その加入を推進し、県下全域をカバーする公益法人をめざした、一層の取組みが必要であると考えています。
また、チェーン店や大型店による、商店街に対する一層の理解の推進も課題です。平成20年4月の神奈川県商店街活性化条例の施行とその後の運用にご尽力いただき、その理解は年々着実に進んできましたが、今般のコロナ禍を契機として、商店街から退会したり、協賛を取り止めるチェーン店や大型店も目に付くようになりました。
チェーン店や大型店に関わる今後の消費動向などによっては、こうした動きはさらに進むことも危惧されます。そうなれば商店街の一体性は損なわれ、その活動や運営にも支障が出てくることになり、ひいては本会の運営にも影響が出てくることが考えられます。
そこで、神奈川県におかれては、次のことに配慮いただくよう要望します。
本会に加入していない商店街連合会やそうした商店街連合会が存在する市町村に対しては、県におかれても機会を捉え、本会の存在意義や加入のメリットを伝えるなどしていただき、加入推進に向けた支援をしていただくこと。
また、県の地域別に見ると、県西地域においては、本会に加入している商店街連合会は一つの町のみであることから、その他の市町の商店街連合会の加入推進に努めていくので、県におかれても加入推進に向けた特段の支援をしていただくこと。
神奈川県商店街活性化条例の趣旨を踏まえ、チェーン店や大型店が商店街の活動を理解し、商店街への加入と加入継続の重要性を深く認識していただけるよう、県におかれては、条例の浸透に一層努めていただくこと。
(以 上)