2022年10月28日
神奈川県の商店街に対して行っております「神奈川県商店街実態調査報告書(令和4年度版)がまとまりました。
今年度は商店街が行う地域貢献の取組み等と商店街活性化条例を主なテーマに調査を行いました。
[アンケート調査対象(対象:70、回収48)、ヒアリング調査対象(対象:20)]
以下、報告書から一部抜粋して紹介します。
◆約4割の商店街で景況感は厳しい見方の一方、約2割の商店街では回復に
・現状の景況がやや悪い、あるいは悪いと回答した商店街が41.7%でコロナ禍の影響が見られます。一方で、良い、やや良いと回答した商店街が18.8%と昨年に比べて増えており、一部の商店街ではコロナ禍からの回復傾向が見られます。
・良い、やや良いと回答した商店街は「駅前繁華街」、「駅近隣型商店街」に多い傾向にありました。これらの商店街については飲食店が多く、コロナ禍による巣ごもり消費で減少していた人流が戻ってきていることが影響していると考えられます。
・今後の活性化の見通しについても、「住宅近隣型商店街」で今後悪くなっていくと回答した商店街が多い傾向にありました。
・これは、「駅前繁華街」、「駅近隣型商店街」ではワクチン接種などでコロナ禍収束への期待がある一方、「住宅近隣型商店街」ではコロナ禍収束への期待が弱い分、今後の物価高への不安の影響が強いのではないかと考えられます。
◆約7割の商店街で地域住民の交流の場となるイベントを実施
・地域貢献であると強く意識して行っている取組みで、最も多いのは「季節のイベント実施(地域住民の交流の場になるもの)」が68.8%、次いで「街路灯の維持管理」が60.4%、「防犯カメラの運営」が54.2%の順で多くなっています。
・「季節のイベント実施」については、規模の小さい「駅近隣型商店街」や「住宅近隣型商店街」で行っている割合が高くなっています。
・「街路灯の維持管理」、「防犯カメラの運営」については、駅に近く規模の大きい「駅前繁華街」や「観光地」で行っている割合が高くなっています。
・これらの活動は地域の安心・安全に関わる活動であり、地域外から不特定多数の顧客が訪れることが多い「駅前繁華街」や「観光地」でニーズが高いためと考えられます。
・また、「近隣型」商店街は規模が小さい商店街が多く、「街路灯の維持管理」や「防犯カメラの運営」の活動を行っていない理由の一つと考えられます。
◆活動継続に必要な支援は、資金面が約7割、活動を実施する人材面が約5割など
・前項の取組みを継続するために必要なものは、「活動を継続するための資金」が72.7%と最も多く、補助金等での資金面の支援を必要としていることがわかります。
・次いで「実際に活動を行う人材、実際に頭や身体を動かす人材」が54.5%、「商店街側の人材、運営側の人材」が36.4%と、活動を実施する人材面での支援を必要としていることがわかります。
◆活動が継続できなくなった場合の地域コミュニティへの影響は地域の安心・安全への影響など
・地域貢献の活動が継続できなくなった場合の地域コミュニティへの影響で最も多かった意見は、地域の安心・安全への影響に関する意見でした。
・次いで多かった意見は、地域の人々とのふれあい、交流への影響に関する意見および商店街活動への影響に関する意見でした。
◆約7割の商店街で神奈川県商店街活性化条例を知っていると回答
・神奈川県商店街活性化条例の認知度については、「条例の内容も含め良く知っている」と「条例が制定されていることや条例の名称は知っている」を合わせて68.8%の商店街が知っていると回答しています。
・一方で31.3%の商店街が「知らない」と回答しており、まだまだ条例の周知が必要な状況であることがわかりました。
・「① 条例の内容も含め良く知っている」の割合は、「近隣型」よりも「地域型・広域型」の方が多く、「近隣型」では、半数の認知状況が、「② 条例が制定されていることや条例の名称は知っている」に留まっています。
・これは、「地域型・広域型」の商店街には大型店やチェーン店などが多く存在するため、これらの店舗に入会を説得するために条例を活用するケースが多いためと考えられます。
★この調査の詳細については、以下、PDFファイルにて掲載しております。
「令和4年度 商店街実態調査報告書 概要版」
PDFファイル(全8ページ)
「令和4年度 商店街実態調査報告書」
PDFファイル(全36ページ)