──地域のニーズに合わせ、いつでも食べてもらえる「正直な」パンを──

　三崎港へ向かうバス通りに製パン店、タカラヤがある。一歩足を踏み入れると、菓子パンや食パン、綺麗な色に焼けたフランスパンなどが並んでいる。
　「お客様に人気なのは、コッペパンや食パンなど、素朴で昔ながらのパンですね」と、話すのは店主の大賀健一さん。戦前の創業であるタカラヤの三代目だ。
　お店のモットーは、地域の人たちのニーズに合わせて、価格を抑え、添加物を控えた"なるべく正直な"パンをつくるということ他ならない。特に食パンやフランスパンなど常食用のパンについては、低温で長い時間をかけて発酵させた酵母を使い、手間をかけて香りと味わいを引き出している。
　「全粒粉や色々な穀物の入ったパンのように食物繊維が多く、また油脂も少ない低カロリーなパンを作りたい」と大賀さん。毎日食べるものは身体に良いものの方がいい。
　「やはり飽きない味が求められていると思います」お客の高齢化が進む中、"正直に"つくられたタカラヤのパンには大賀さんの思いが詰まっている。

「かながわ商店街新聞平成26年10月号より」