──商店街と地域に密着して60年。よい品をより安く──

　柳屋は現在、横須賀市と横浜市に８店の支店を持つ。リーズナブルな洋品全般を扱うお店として創業62年を迎えた。しまむらやユニクロよりも前から「良いものをより安く・同じものなら絶対に安く」をモットーに各地域のお客に愛されている。
　昨今では洋品業界は熾烈な競争にさらされており、柳屋も苦戦を強いられているが、良くも悪くもお客には“良いものが安いから柳屋”というイメージが定着しているという。だから、競合店の動向もよく参考にするようになった。
　「今まで価格面で群を抜いていたのが逆に追いかけられる身になった」と話すのは田邉一三社長。しかし他店の動向を見るようになったことは決して悪いことばかりではない、という。
　なぜなら、それが社員やスタッフたちが外に目を向ける良い切っ掛けになったと考えているからである。柳屋に来店したお客は、つまり、他店ではなく柳屋を選んでくださったお客なのである。だとすれば、そんなお客にぞんざいな接客は許されない。
　従業員に人間力を身につけ、人としての器を高めてもらいたいと、田邉社長は「木鶏（もっけい）会」という勉強会を始めている。読書感想会であり、良いところを褒めポジティヴな面を伸ばすのが目的だ。
　「皆には嫌がられているんだけど」と苦笑する田邉社長自身が、研修会や勉強の機会を大切にし、日々学びの姿勢を持ち模範の姿を見せ続けている。

「かながわ商店街新聞平成25年2月号より」