──お客と一緒に米からつくる葉山のお酒──　

　酒店が地域の特色を出したオリジナル商品をつくることは珍しくない。しかし田んぼでの米作りから取り組んでいる酒店は、県内でも数えるほどだ。

　リカーズかさはらは、葉山町の葉桜地区にある酒店である。日本酒とワインと両方で葉山町のオリジナル商品をお客と一緒につくっている。
　「葉山 田遊び」は純米吟醸酒。日本の原風景が残る、葉山上山口の棚田など2箇所の水田で育てた米を使ってつくる酒だ。毎年600本ほど製造し、今年で6年目になる。
　農家から借りた棚田の一角を舞台に、お店のファンや地元葉山の人たちが集まり、田植えから稲刈り、脱穀までを皆でやる。
　出来あがった酒は、店主の笠原吉昭さん曰く「辛口だが、甘く感じる奥行きある美味しさ」。思い入れもひとしおだ。
　また同店は、山梨県勝沼のぶどう畑を借りて国産100％白ワイン「ヴェルデ・コンパーニョ」も作っている。
　酒店だけで取り組むのではなく、地域のファンと共につくる酒づくりは、完成したお酒以上のものを地域にもたらしている。

　「かながわ商店街新聞平成24年11月号より」