──豊富な品ぞろえと目利きで、相模湾の魚をプロデュース──

　伊勢原の街に水族館のような鮮魚店がある。大きな水槽の中をイナダが泳ぎ、タカアシガニや大型の貝類、小型のサメまでいる。店頭、店内にもカマスや太刀魚など相模湾でとれた魚が中心に並び、素人目にもスーパーとは全く違う品揃えであることが分かる。伊勢原の地で23年の海鮮市場マルモトだ。
　マルモトは卸と小売を手掛ける店であり、売上の構成は大きく3つ。毎朝、小田原魚市場で当日水揚げられた地魚をチェーン店・流通業者の注文で買い付けをする仲買業務が1/3、料理店等の顧客に届ける業務用卸売りが1/3。残りの1/3が卸・小売りの店頭販売だ。
　「創業した網代から伊勢原に出店してきた頃は、人通りがあまり無くて。それで近隣の料理店に商品を勧めていったら評判が広がったんです」と話すのは4代目の田中由起社長。小売としても魚好きの人に評判の店で、遠方から刺身等を注文し訪れる客も多いという。
　お勧めはやはり地魚。相模湾の魚だ。今後は、家庭ですぐに食べられるもの。または簡単に調理できるものを開発したいと田中さん。「魚を新鮮なうちに食べてもらえる調理方法を考えなければ」

　すぐに食べられるもの。それが生鮮食品業の課題なのかもしれない。

「かながわ商店街新聞平成25年9月号より」