──地域を見続けて95年、老舗パン店の挑戦は続く──

　ロワール光月堂は、小田急線長後駅前の長後商店街の中にある大正14年創業の老舗パン店だ。実店舗を2店として軸足を製造業に移し、従業員約100人を抱える企業に成長した。
　「パン屋として地域に貢献したいと、いつも思っています」と3代目の齋藤伸一社長が話してくれた。12年前に手掛けた「湘南藤沢小麦」は、香ばしさが特徴で、同社が遊休農地の解消のために生産者と連携して生まれた地元産の小麦だ。今ではすっかり定着し、同社が手掛ける各種パンに、給食用のパン、また他のパン店やラーメン店にも活用が広がっている。
　さらにこの3月には、急きょ販売した「給食工場で作ったコロナに負けるなコッペパン」が注目を浴びた。小中学校の臨時休校で使用できなくなった材料等を使い、社会貢献の意味も含め、3本入り100円という格安で販売したパンで、4代目の孝暁さんがSNSで告知すると大きな反響があったという。「この件で、多くの励ましの言葉をいただきました」と、齋藤社長は喜ぶ。
　製パン業としての事業を着実にこなしつつ、社会貢献をも両立させていく。斎藤社長は常に地域を見つめている。

「かながわ商店街・おみせ新聞令和2年4月号より」