──大正8年創業、全国の酒蔵とのタッグで他店にない品揃え──

　国産の日本酒や焼酎、ワインがずらりと並ぶ望月酒店の店内。来店客は店員と長い間相談しながら、自分好みの酒を購入していく。ここでなら求める酒に出会えるからだ。
　三代目となる望月喜代志さんは言う。「十四代や田酒磯自慢など、人気の酒は毎日問い合わせがありますよ。入荷してもすぐ売り切れます」それは、もちろんどこの酒屋にも置いてある代物ではない。
　こうした仕入れが出来るのは、望月さんが全国の酒蔵に足を運び、構築してきた信頼関係があるからだ。例えば今でこそ有名な八海山や久保田は、知名度が低い頃からずっと扱ってきた。
　昨今、地域の店が地酒を置くのは珍しくないが、望月酒店では日本酒が売れなかった昭和50年代頃から、酒蔵と交流し各地の地酒の取り扱いを始めたのだった。「酒自体は売れていたので店に余力があったんです」と望月さん。苦しい時期を共にした酒蔵からの信頼は今でも厚い。
　「ただ人と人と出会って、良い酒を紹介してきただけ。やはり人が財産です」そう話す望月さんの笑顔の中には酒と人への愛がある。

「かながわ商店街新聞平成26年7月号より」